2024.1.17
ここでは、当事務所が解決した、アビリオ債権回収への消滅時効の援用を紹介します。
相談から解決までは、以下の通りです。
愛知県のお客様より「アビリオ債権回収に対して消滅時効の援用をしたい」とお問合せを受けました。
今回は、アビリオ債権回収から「重要なお知らせ」が届いた案件でした。
請求額をみると、遅延損害金等を含め115万円ほど(元金37万円ほど)となっていました。
アビリオ債権回収から「重要なお知らせ」が届いた場合の消滅時効の援用について、詳しくは以下のページをご参照ください。
アビリオ債権回収から届いた「重要なお知らせ」には、「返済期日」などが記載されていませんでした。
しかし、右のページの[備考]には、仮執行宣言付支払督促を取得している旨と事件番号が記載されていました。
事件番号を見ると、10年以内に仮執行宣言付支払督促を取得していることがわかりました。
また、左のページを見ると、期限の利益の喪失日が記載されていました。
期限の利益の喪失日を見ると、期限の利益の喪失日から5年経過した後に仮執行宣言付支払督促を取得していることがわかりました。
なお、宮崎地方裁判所令和2年10月21日判決によれば、「貸金債権の消滅時効完成後に申し立てられて確定した仮執行宣言付支払督促には既判力はなく、消滅時効を援用することは信義則に反するとはいえず、消滅時効援用により貸金債権は確定的に消滅した」旨を判示しています。
したがって、今回も時効期間である期限の利益の喪失日から5年経過してから申し立てられて確定した仮執行宣言付支払督促であるので、消滅時効の援用ができる可能性があると判断し、アビリオ債権回収に消滅時効の援用をする旨の内容証明郵便を配達証明書付で送付しました。
内容証明郵便がアビリオ債権回収に到達してから消滅時効の成立確認をしたところ、消滅時効を認めるとの回答をいただき、無事に消滅時効が成立しました。
また、今回は、借金がない旨の「残高証明書」も発行していただけました。
今回、遅延損害金等を含め115万円ほど(元金37万円ほど)請求されていましたが、消滅時効を援用することにより、債務が0円となりました。
10年以内に裁判を起こされている場合は、原則として、消滅時効を援用することができません。
しかし、今回説明したとおり、確定した仮執行宣言付支払督促を取得されていたとしても、それが消滅時効期間経過後に申し立てられたものであれば、消滅時効を援用することができます。
こういう場合は、なかなかご自身で消滅時効を援用できるのかどうか判断するのが難しいと思います。
したがって、ご自身で消滅時効の援用ができるかどうかを判断できない場合や消滅時効の援用を任せたい場合は、司法書士や弁護士に相談されることをおすすめします。