消滅時効の援用をした場合のメリット・デメリット

こんにちは。司法書士の森野です。

消滅時効の援用にはメリットもありますが、デメリットもあります。

やはり、消滅時効の援用を検討しているとデメリットが気になるでしょう。

そこで、今回は、消滅時効の援用をした場合のメリット・デメリットについて説明していきます。

消滅時効の援用をした場合のメリットには、以下の３つがあります。

1. 消滅時効を援用した借金がなくなる
2. 借金の督促、請求がこなくなる
3. 信用情報機関の事故情報が一定期間後に抹消される（抹消されないこともある）

​以下でそれぞれについて、詳しく見ていきます。

消滅時効を援用し、時効が成立すれば、消滅時効を援用した借金がなくなります。

つまり、消滅時効を援用した借金については、返済しなくてもよくなるのです。

消滅時効を援用するメリットの中で、これが一番大きなメリットになるでしょう。

消滅時効の援用をして、時効が成立すれば、消滅時効を援用した借金はなくなるので、業者からの督促、請求もこなくなります。

また、弁護士や司法書士に依頼した場合は、弁護士や司法書士が「受任通知」（依頼を受けた旨等を知らせる書類）を相手方に送ると督促、請求が止まります。

なお、行政書士も消滅時効援用の内容証明郵便を作成できますが、代理人となることができないため、時効が成立するまで督促、請求がくることになります。

まず、信用情報機関には、以下の３つがあります。

1. JICC
2. CIC
3. 全国銀行個人信用情報センター

​これらの信用情報機関に、延滞しているとの登録がされることを事故情報といいます。

事故情報が登録されると、新たに借り入れをしたり、クレジットカードを作ることができなくなります。

しかし、消滅時効の援用を検討しようとする場合は、すでに何年も延滞しているので事故情報が登録されているでしょう。

消滅時効の援用をすると、一定期間後に事故情報を抹消してもらえます。

ただし、業者によっては、消滅時効の援用を認めても信用情報については、何もしてくれない業者もいます。（ごく一部）

消滅時効の援用をした場合のデメリットには、以下の１つがあります。

1. 時効が成立しない場合がある

​以下で、詳しく見ていきます。

以下のような場合には、時効が成立しないので注意が必要です。

1. 10年以内に裁判で判決を取られている
2. 時効の期間内に少額でも弁済をしている
3. 時効の期間内に支払いの約束をした

​以上のようなことがあると時効が成立しません。

それでは、時効が成立しなかった場合はどうなるのでしょうか。

時効が成立しなかった場合は、元金、利息、遅延損害金の全額を支払うことになります。

もし、支払いができない場合は、弁護士や司法書士に依頼をして、任意整理、個人再生、自己破産という債務整理手続きをすることになるでしょう。

消滅時効の援用ができる可能性があるのなら、やるほうがいいでしょう。

もし、消滅時効の援用ができるのに放置しておくと、利息、遅延損害金が増えていきますし、裁判を起こされる可能性もあります。

裁判を起こされた場合は、適切に対応をしなければいけませんし、弁護士や司法書士に依頼をすると、通常の消滅時効の援用をするよりも費用がかかります。

もし、ご自身で判断するのが難しい場合は、弁護士や司法書士に相談をしてみましょう。